高堂社長

 人々の社会経済活動に伴い、先人が築き上げてきた道路、橋、用排水路といった社会基盤は、今や膨大な量が世の中に蓄積されている。当然のことながらそれらは、その作られた時のままでは無く永い年月の中で、徐々にその品質や機能を失いつつあり、現在を生きる我々建設業者は、その社会的資産を未来に引き継いでいくという重要な役割を担わなければならない。そのためには、技術者ひとりひとりに卓越した技術力が求められると共に、建設会社自体がそうした技術者の集団として存在しなければ、社会に信頼されることも、その役割を担うことも難しい。技術力は単に時間の経過と共に身に付くものもあるが、そんなに今の時代は技術者には寛容ではない。やはり技術者個人の自覚や資質、志、そして何より自己の目標実現のための弛まぬ努力が必要とされる。

 

 また一方、地球的規模といっても良いほど、局地的、集中的な暴風雨、暴風雪が頻発する近年においては、地域住民や一般市民の生命や財産が脅かされることも珍しいことではなくなってきている。

 

 こうしたことから、我々建設業者には地域経済の永続的な発展による希望ある地域の未来を創造するため、単に物を構築するだけではなく、限られた資源、限られたエネルギーの中での持続可能な社会の形成に寄与すると共に、自然災害の脅威から地域社会の安全、安心な生活環境及び経済活動を守るという重要な使命がある。

 

 さらに、持続可能な社会の形成には、現在の少子高齢化社会と地域がどう向き合っていくかも重要な課題である。建設業者として、前述の地域社会の安全、安心な生活環境及び経済活動を守るためには、未来へ向けての人材の確保は重要な要素である。地域の労働人口の減少は、当然のことながら地域経済及び生活基盤の崩壊へ突き進み、やがては地域自体が消滅することとなる。この問題解決には、地域で生きる我々先人が、どう地域の魅力作りをし、どう地域の魅力を発信していくかが鍵となる。そのためにも、地域で夢を持って頑張っている若い人たちを育て支援する事が大切であり、「ものづくり」とは別の側面となる「地域の未来づくり」として、我々建設業者に課せられた重要な役割であると認識する。弊社では平成27年に日本スピードスケート連盟強化選手(女子)を1名社員として採用し、支援並びに会社を挙げての応援を行い、平成30年の平昌オリンピック選手を誕生させることができました。続く令和元年には同じく男子選手を採用し、令和4年の北京オリンピック出場を目指しているところです。また、平成28年からは、東北大震災の復興支援のため、その活動で得た義援金を岩手県山田町に届けている十勝の池田町池田高校吹奏楽部への支援も始めた。この平成28年は、弊社にとって丁度、創業60年であったことからフレンチホルンを寄贈した。このような地道な「地域の未来づくり」が、必ずや持続可能で輝かしい地域社会の未来を創造すると確信する。

 令和2年1月

 

代表取締役

高堂 匠美